脂肪は人間をはじめとする動物全般の身体とって、非常に効率的なエネルギー貯蔵倉庫です。特に人間が活動するための栄養素となるものは、脂肪のほかにも炭水化物、タンパク質と大きく分けて三種類(三大栄養素)ありますが、なかでも各栄養素が持つ単位質量あたりのエネルギー含有比率は、炭水化物とタンパク質の二種類がともに約4kcal/gであるのに対し、脂肪のそれは9kcal/gと倍近いことが分かっています。
このことから古来より人間が生物として活動する状況において、脂肪がとても重要な役割を担っていたことをうかがい知ることが出来ます。何日も食料を手にすることが出来ないとき、それまでに蓄えてあった体内の脂肪をエネルギー源として、人類は生き延びてきたに違いないのです。
しかし現代社会の食糧事情において、特に先進国の日常生活では、多くの人が飢餓などに困窮することがなくなりました。食物から取り込まれた栄養素の多くは、脂肪として体内に蓄積され続け、メタボリックシンドロームなど現代病の弊害を生み出してきたのです。
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人体が脂肪を蓄積する仕組みは、食物などから直接取り入れるか、炭水化物の余剰分を合成して肝臓や皮下脂肪に蓄えます。一度蓄えられた脂肪がエネルギーとして活用されるには、日々摂取される総量を上回るエネルギー消費が条件になりますが、大雑把に言って、糖質(炭水化物)、タンパク質、脂肪の順で使用されると考えて良いでしょう。特に飢餓状態で栄養が欠乏すると、まず筋肉を構成するタンパク質が生命維持のエネルギーとして使われ、それも尽きたとき初めて脂肪が消費されるようになるのです。こうなるともはや健康状態を維持するのは困難であり、さまざまな健康被害を併発する状況となりますが、これがいわゆる過度なダイエットによる悪影響に近い状況です。
ですから、健康的に脂肪を燃焼させるためには、栄養素を不足させてはいけません。特に有効とされる酸素運動においては、糖質と脂肪がほぼ半分ずつの割合で消費していきます。この運動の強度が増すと、とたんに糖質の燃焼割合が上昇してしまうため、早く脂肪を燃やしたいからと言って激しい運動をするのは逆効果となってしまうかもしれないのです。また、運動や基礎代謝において脂肪をエネルギーとして燃焼させる役割を担うのは、大部分が筋肉組織であるため、栄養不足や運動不足による筋力低下もまた、同様に脂肪燃焼の観点から逆効果となるのです。